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道化師は微笑う。

TOA中心二次創作サイト。

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『知らぬは~』現在編⑯

外殻大地降下のためにセフィロト巡りをする必要はあるのだろうか?

イオンはセフィロトのダアト式封咒を解いてはおらず、ヴァンがパッセージリングに細工をすることは不可能なはずだ。
アルバート式封咒は消滅させたのだから、どこのセフィロトからでも操作ができるのではないだろうか。そう言ったのは誰であろうか。その言葉を受けて大きく首を振ったのはジェイドだった。
「アクゼリュスのパッセージリングはまだ完全に消えたわけではありませんので」
降下する大地の隙間から外殻大地に戻ってきたばかりだというのに、すっかり忘れていた面々にジェイドは呆れ顔である。一週間後に消滅することが決まっているとはいえ、現在まだセフィロト同士の繋がりはアルバート式封咒によって閉ざされていた。だからといって、アクゼリュスの降下が終わるのを待っていられない様子のジェイドというのは、どこか不自然のような気がしないでもない。
「外殻大地って、そんなにヤバイ状態なのか?」
前はもっと時間があったような気がする。色々変えてしまった弊害がこんな所で現れたのだろうか?
「いえ、大地に関してはまだ充分に時間があると思います。―――問題は戦争の方です。ピオニー陛下にその意志がなく、ファブレ公爵夫人がキムラスカ軍を抑えてくれているとはいえ、国境付近の両軍は一触即発の状態にあることでしょう」
戦争をしている場合ではないとキムラスカ国王に思わせるためにも外殻大地の降下を急ぐ必要があった。
「ルグニカ平野だけ先に降ろしてしまうということもできますが、それが開戦の切欠となる可能性もありますので」
世界が瀕している危機を知らず呑気に戦争をしようとしている人々に、この世界を脅かす驚異をわかりやすい形で示すためには、外殻大地を降下させるぐらいの劇薬が必要だろう。前回一度障気で世界を覆ったというのも、今思えばよい手段だったのかもしれなかった。しかしそれはもう使えない手段である。
「そういうことなら、急いだ方がよさそうだね」
シュレーの丘のダアト式封咒はオリジナルイオンが解呪することを申し出た。
「イオン様とノエル、それから漆黒の翼の皆さんはここで待っていてください。ヴァンたちが来ないとも限りませんので見張りをお願いします。フリングス少将はアルビオール三号機でグランコクマへ。フローリアンを連れてきてください。ギンジ、頼みましたよ」
どちらに付いていくべきか悩んでいる様子のジョゼットの背中を押したのはナタリアたち女性陣である。
「これだから殿方は、気が利かなくて困りますわ」とジェイドを睨むナタリアからそっと距離を取る男性陣の気持ちはわからないものではない。しかし触らぬ何とかにとは言うが、ジェイドに触らなかったことで別の祟りが待っているとは思わなかったのだろうか。どちらにしても祟られるというのであれば、どちらの方がマシなのか。それは戦争回避以上の難問だった。
自身の被験者(オリジナル)を苦手とするシンクも入り口に残ることにし、オリジナルイオンから離れることを厭うアリエッタは同行することになった。もちろんアリエッタのお友だちも一緒である。
セフィロトの最深部。パッセージリングの正面に設置されている譜石は、ティアが近付くとそれに呼応するようにその形を変化させた。ティアの身体に青白い光が吸い込まれ、パッセージリングの上部に操作盤が展開される。
「ご苦労様です。身体はなんでもありませんね」
「大丈夫です」
それはティアお得意の強がりでもなんでもなかった。確かに第七音素を取り込んだ感じはしたが、眩暈も吐き気もない。そのために魔界で障気を中和したのではあるが、上手く行くまではどこかに不安もあっただけに、当事者であるティアはもちろん、魔界での障気中和の発案者であるジェイド、そして誰よりもルークを安堵させた。
これで後はセフィロトに降下の命令を書き込むだけである。
「それでは、ティアとアッシュは次のセフィロトに向かってください」
掲げた手の行き場を失ったルークはその姿勢のまま固まり、名指しされたティアとアッシュはまじまじとジェイドを見遣る。
「どういうことだ」
ジェイドの真意が掴めないという意味では全員同じだったが、ルークと引き離されるかもしれないとういう状況に焦っているのはアッシュだけだった。
「時間が惜しいと言ったはずですよ。せっかく第七音素の使い手とダアト式封咒を解呪できる人間が複数いるのですから同時に攻略するべきでしょう」
ティアには無理をさせることになるが、確かにそうした方が効率は良さそうである。
「それなら、この子に乗っていくといいです」
ホーリーボトルを渡されて、「走っていってください」と言われている二人を見て気の毒に思ったのか、アリエッタがライガに二人を乗せて先に戻るように命じる。
「わかった。ジェイドもアッシュたちと次に行ってくれ。俺は一度やっているから一人でも大丈夫だと思うんだ。でも、アッシュは初めてだし、ジェイドが指示しながらの方がいいと思う」
「そうですね。貴方と会えないことを焦っていい加減なことをされても困りますし。お目付け役として私が付いて行った方がいいかもしれませんね」
ルークが心配しているのはそういう事ではなかったのだが、ルークとアッシュ以外はジェイドの心配の方がありえそうだと思ったことは当人たちには秘密である。
「そろそろアルビオール三号機が戻ってくるころだと思いますので、私たちは彼らと共にザオ遺跡へと向かいます。貴方方はここの書き換えが終わった後はタタル渓谷に向かってください。そうそう。入り口はしっかり閉めてから来るのですよ」
「任せとけって」
「えぇ、任せました」
残ったメンバーにセフィロト巡りの順番を支持する。全セフィロトを巡る必要のあるティアだけで、アッシュとルークはそれぞれ三つずつ、被験者イオンはルークと共に行動することになりやはり三つ、アッシュ側はイオンのレプリカである三人が担当することになった。レプリカである故の体力や能力の劣化を考慮してのジェイドの采配である。
ジェイドとティアはライガで、最後までルークと離れることを渋っていたアッシュはフレスベルクによって強制連行されていった。
アッシュたちを見送ったルークは改めてパッセージリングに両手をかざす。
かつてやったこととはいえ、ここは慎重にやらなければならない。これはルークとアッシュにしかできないことだった。アクゼリュスのパッセージリングを超振動で強制操作してしまったので、通常の方法でパッセージリングを操作することはできなくなってしまったのだ。
「これでヴァンに細工をされる心配はなくなりました」
項垂れるルークに対して、塞翁が馬だとジェイドは言ったが、あの故事は最終的にどっちで終わっていたのだろうか―――幸不幸は予想し難いという喩えであって、そういう意味ではない。それをいうなら怪我の功名ではないだろうか。
文字通り世界中を飛び回り、ラジエイトゲートとアブソーブゲートを除くすべてのセフィロトに降下の命令を書き込んだ後は、ケテルブルクに一度集まることになっていた。
集合場所にそこが選ばれたのは六つめのセフィロトに近いことと、協力者であるネフリーが住んでいるからである。
今生では知事になっていなければ結婚もしていないネフリーは、現在ピオニーが幼少期に軟禁されていた屋敷で暮らしていた。屋敷の使用人たちから未来の皇后として扱われていることにジェイドだけが苦り切った表情を浮かべる。当初は戸惑うばかりだったネフリーも七年も続けられては受け入れるしかなかったのだろう。
「これで残すはアブソーブゲートとラジエイトゲートだけとなったわけですが、どちらもダアト式封咒がありませんでしたから、ヴァンたちが何か仕掛けてくるかもしれません」
何故この二箇所だけダアト式封咒で閉ざされていなかったのかは謎である。空を飛ぶ手段を持たない人間には辿り着くことはできないと高を括っていたのだろうか。現代の人間にだって創世暦時代の遺産であるアルビオールを復活させることはできたし、魔物を手懐け空を翔ることができたのだ。軽率だったと思わないでもないが、そのお蔭で前回ラジエイト側からのアッシュの助力が得られたのだから文句を言う筋合いはなかった。あるいはそうなることも見越した上だったとしたら、ユリアはどこまで先を詠んでいたのであろうか。恐ろしいものがある。
「ヴァンがいるとしたらこちら側である可能性が高いですが、そちらではないという保証もありませんので、十分注意してください」
アブソーブゲートに向かうのはかつてと同様ルーク・ガイ・ジェイド・ティア・ナタリア・アニスの六人だった。ラジエイトゲートにはアッシュと漆黒の翼の三人、それから被験者イオンとアリエッタが向かうことになった。残りはケテルブルクで待機である。
被験者イオンが行く必要はまったくなかったが、ルークと離れることに難色を示すアッシュを動かすのにこれほど相応しい人物はいないということで、ジェイドにより指名されたのである。アリエッタが付いていくことに説明はいらないだろう。
「これが終われば一緒にいられるんだから、頑張ろうな」
ルークも自分と一緒にいたいと思ってくれていることに安堵しつつも、あっさりアルビオール二号機に乗り込む後姿に一抹の不安を覚えるアッシュだった。



アブソーブゲートの最深部。
かつてと同じようにオルガンを弾くヴァンの後姿がそこにはあった。
何故オルガン? と突っ込むべきなのだろうかと、ルークは暫し思案する。しかしヴァンの姿を見て足を止めたのはルークだけだった。
今更ここで問答をするのは時間の無駄だと思ったのか、その後姿を認めた瞬間にティアは太腿に忍ばせていたナイフを投げ付ける。ナタリアは立ち止まって弓を引き絞り、アニスは既にトクナガを巨大化させている。
「女性陣は気が短いですね」
そう言うジェイドはすでに詠唱を終了させており、後は機を見て術を発動させるばかりの状態だ。
「背後を突くなんて、卑怯じゃないのかい」
剣を抜いて脇を駆け抜けるガイの顔は実に楽しそうな笑顔だった。台詞と行動が伴っていないと思うのはルークの気のせいではないだろう。
演奏中を襲われたというのにあっさりナイフを避けたヴァンに、ティアは舌打ちを一つして今度はハヌマンシャフトを振り下ろす。
「ヴァン師匠(せんせい)を説得するんじゃなかったのか?」
「そういうことは、捕まえてからゆっくりやればいいのよ」
一応殺さずに捕らえるつもりはあるようである。その割にはまったく手加減しているように見えないのは何故なのだろうか。
「心配しなくてもこの程度で死ぬような方ではありませんわ」
矢尻に毒でも塗っておけばよかったですわと呟くナタリアは、己の放つ矢がヴァンの腕を薄く傷つける程度でしかないことが歯痒いのだろう。接近戦であればもう少しダメージを与えることもできるのだが、ティア・ガイ・アニスの三人がヴァンの周囲を固めている状態ではナタリアに入り込める余地はない。仕方がないので補助系譜術を前衛の三人に掛けつつも、秘奥義発動の機会を窺っているようである。
「貴方はアイテム係りに徹していてください」
道具袋を押し付けられたルークだったが、通常攻撃だけでヴァンを押さえ込んでいる前衛三人に何のアイテムが必要なのだろうか?
ジェイドは詠唱の合間に己でパイングミを口の中に放り込んでいる―――ジェイドの道具袋の中にはパイングミしか入っていなかったというのは後に判明する事実である。
戦闘に加わることもできず、ジェイドに押し付けられた仕事もどうやら必要なさそうで、ルークはそっとバリアー・シャープネス・レジストと補助系譜術を詠唱中のナタリアの横に移動する。
「グミいるか?」
「頂きますわ」
ついでにお茶も、と言い出しかねないナタリアの雰囲気に、己の無力さを噛み締めるルークだった。無力ではなくてヴァンに対して非情にはなりきれないために参戦できない―――させてもらえない―――のだとはわかっていないようである。
「失敗作に、倒されるとはな・・・・・・」
ルークが何もしない内にヴァンは膝を付くことになったのだから、ヴァンを倒したのはルークではない。ルークが集めた―――ルークのために集まった―――パーティーに倒されたという意味ならその台詞もあながち間違ってはいないのかもしれないが。
笑いながら後退るヴァンに後ろは見えているのだろうか? ヴァンの背後は断崖になっていた。
「ヴァン師匠(せんせい)」
それに逸早く気付いたルークがヴァンに駆け寄るのと、ヴァンの足が空に踏み出されるのはほぼ同時だった。
「そんな」
それは誰もが抱いた思いであった。
差し伸べた手は拒絶され、ヴァンの身体は地核へと飲み込まれていく。
床に突き刺さった剣がそこに男がいた証のように音素の光に鈍く輝いていた。



「行きましょう」
最初に動いたのはティアだった。その声に動揺はまったく見られなかった。むしろ動揺しているのはルークの方だった。
「何を惚けているのですか? 時間がありません。行きますよ」
そんなルークには慰めるよりも、叱りつけた方が効果があった。事実ジェイドの声に反応するようにパーティーの後を付いてきている。しかしその歩みにいつものキレはまったくなかった。ほとんどガイに引きずられるようにしてパッセージリングの前に移動しても、ルークはまだ心ここにあらずといった感じである。
ヴァンを無事―――死んでいなければよい、という認識は果たして無事と言ってもいいものなのだろうか―――連れて帰ることを望んだのはルークだけではない。その理由はそれぞれ違ってはいたが、ヴァンが地核に落ちてしまった時は、誰もが計画通りにいかなかったことに少なからずショックを受けたのである。ルークの気持ちがわからないわけではなかったが、いつまでもそうしているわけにはいかなかった。
「ルーク、しっかりしなさい。これはあなたとアッシュにしかできないことなのですよ」
「アッシュ」と名前を聞くだけで精神安定剤にでもなるのだろうか、見る見るうちに生気を取り戻していく。
「わかっている。行こう、みんな。アッシュが待ってる」
「妬けますねぇ~」と言ったジェイドの言葉はただガイをからかうためだけの言葉だったはずだが、「まったくだ」とガイはかなり本気で同意する。まあそれでもルークが元気になったのであれば、ガイとしてはそれでいいわけなのだが。後でアッシュに嫌がらせの一つでもしてやろう、という思いがきっちり両立しているあたり、ガイとアッシュはある意味似たもの同士なのかもしれない。
大きく一つ息を吐くとルークはティアが起動させた操作盤の前に立つ。そういえば、ラジエイトゲートにユリア式封咒はないのだろうか? かつても協力してくれたのだから、今回も大丈夫だと思ってはいたが、少しだけ心配になる。そして最初からアッシュを当てにしていた自分が情けなくなった。当てにしなかったとしたらしなかったで、それはそれでアッシュが拗ねて面倒なことになるとは思わないのだろうか。
もしもの時は一人でもやってみせるから、とルークは決意も新たにパッセージリングに向けて両手を掲げた。
―――アッシュ。
降下準備が整ったことを知らせるために、久しぶりにフォンスロットを繋ぐ。
―――どうした? 何かあったのか?
ただでさえ自分の感情を隠すのが下手なルークに、フォンスロットが繋がっている状態でそれをやれというのはほぼ不可能に近い。
―――大丈夫。
―――大丈夫って雰囲気じゃねぇな。
―――うん。あとで話すから。今は・・・・・・時間ないんだろ。
―――ったく、まぁ話す気があるだけ進歩してるようだな。
フォンスロットが繋がっている状態であれば、アッシュにルークの記憶を探ることは可能だ。しかしそれをしている時間がないというのはアッシュにも言えることだった。しかし何に対して「時間がない」と感じているのか、そこに違いがあることに二人は気付いているだろうか。開戦まであまり「時間がない」ので早く外殻大地を降下させなければと思っているルークと、ローレライの力が弱まっている今あまり長い時間回線を繋いでいると混ざるかもしれないので、回線を繋いでいる「時間がない」と思っているアッシュでは、同じ言葉でも意味はまったく違う。しかし意味は違っていても外殻大地の降下を急ごうという結論には達するところは一緒だった。
―――始めるぞ。
―――おう。
第七音素の光が掌からパッセージリングへと伸びる。
前より楽だと感じるのはルークの超振動を操る能力が上がっているからか、それともアッシュの助力が最初からあるからなのか。たぶんその両方なのだろう。
「全大陸が降下を始めました」
ジェイドの声に、ルークは「ふう」と詰めていた息を吐き、両手を下ろす。
―――うまくいったようだな。
―――うん。アッシュのお蔭だ。ありがとう。
最初から共にやるときめていたことだ。礼を言われることではないと、アッシュが返事をしようとしていた時だった。別の声がアッシュの言葉を打ち消すように割り込んでくる。
―――アッシュ・・・・・・ルーク! 鍵を送る! その鍵で私を解放して欲しい! 栄光を掴む者・・・・・・私を捕らえようと・・・・・・私を・・・・・・
それは馴染んだ声と同じだったが、決定的に違っている所が一点だけあった。
激しい頭痛を伴っているのである。
アッシュとの回線や地上のローレライからの呼びかけでは痛みはほとんどなかったから忘れていた感覚。懐かしいなぁ、なんて余裕を言っていられるのは最初だけだった。
声から解放されると同時に、片膝を付いて荒く息をする。
「ルーク? どうしました?」
「ローレライが・・・・・・」
「ローレライ? あの方が何か言ってきたのですか?」
ルークたちにとってローレライと言えば地上のローレライのことだ。だが同位体馬鹿な彼(か)の集合体がルークを苦しめるようなことをするだろうか。それでも他に方法がなかったとしたら、余程切羽詰った状態にあるということだ。
ジェイドの勘違いに気付いたのだろう。慌てて頭を振ったルークが頭痛をぶり返させて蹲る。
「ちが・・・・・・そっちじゃなくて、地核の方、だと思う」
「おや、まだ声を届けるだけの力が残っていましたか」
ルークを苦しめるだけでしかない存在に対して、同情する余地などまったくないジェイドは、さっさと地上のローレライに吸収されてしまえばいいのにと、かなり辛辣だ。
「これ」と差し出したルークの掌の上には透明な球があった。
「それは・・・・・・宝珠ですね」
「ああ、地核のローレライが送ってきたんだ。解放して欲しい、って」
「なるほど。また捕まったんですね」
この世界のローレライにとっては初めてのことなのだから、「また」という言い方をしてはかわいそうだろう。
「そしてヴァンはしぶとくもまた生き残った、ということですね」
いやだから、この世界のヴァンにとっては・・・・・・以下略。わかっていて言っているジェイドに対しては言うだけ無駄というものだ。
「しかし、宝珠が手に入ったことは好都合です。ここがアブソーブゲートなのも何かの導きでしょう。ついでにプラネットストームを停止してしまいましょう」
「勝手にそんなことしていいのかよ」
かつてはエルドラントを覆っていた障壁を消すために必要だと各国の代表者に認めさせて行ったことだった。
「ここまで勝手にやってしまったのですから今更ではないですか。それに調度よいかもしれません」
プラネットストームを停止させ音素の量が減れば、譜業や譜術もの威力は激減するだろう。それは戦争の被害を減らすことに繋がることだった。もっとも音素はそんなに急激に減るわけではないので過剰の期待を寄せるべきではない。それよりも開戦を防ぐことを第一に考えて行動するべきだろう。
大地の降下に続き、プラネットストームが停止すれば、混乱は必至である。説明を求める人々の対応に追われ、戦争どころではなくなるのではないか。それは混乱の原因が相手国にあるとして開戦の理由にされる危険と紙一重の賭けでもあったが、世界中に散った協力者たちが人々を扇動することになっている。混乱した一般人に詰め寄られ戦争どころではなくなっている為政者や軍人たちの姿が目に浮かぶようだった。ちなみに協力者とはもちろん被験者(オリジナル)イオンの指導を受けたサーカス一座『暗闇の夢』のことである。
彼らが上手くやってくれるだろうと信じ、ルークは譜陣の中心でローレライの宝珠を掲げるのだった。

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